最近、少し立ち止まって「資本主義」というシステムについて考えることがあります。

いまの社会を見渡すと、資本主義という仕組みは、私たちの「ものの見方」をずいぶんと短期的にしてしまったのではないか、と感じずにはいられません。

四半期ごとの利益、毎月の売上、目に見える即効性のある成果。 人の成長も、社会の成長も、なんだかとても刹那的(せつなてき)に評価されてしまう。そこに「優しさ」や「待つことの寛容さ」が入り込む余地がどんどん少なくなっている気がするのです。

歴史を振り返れば、かつて私たちはもっと大きなサイクルの中で生きていました。 それがいつの間にか「地球中心」から「人間中心」になり、今ではすっかり「お金中心」の社会へと変化してしまいました。お金を中心に据えてしまうと、目先の利益ばかりを追うようになり、遠い未来のことや、遠い地球環境のことは、自分とは関係のない「遠い出来事」として切り離して考えてしまいます。

でも、本当にそれでいいのでしょうか?

社会を良くするお金、「ペイシェント・キャピタル」という考え方

短期的な利益至上主義の中で、社会的な課題に取り組む事業(ソーシャルビジネス)はどうしても資金が集まりにくく、苦戦を強いられます。社会課題の解決には時間がかかるからです。

そんな中、新しいお金のあり方として注目されているのが「ペイシェント・キャピタル(辛抱強い資本)」です。

これは「すぐにリターン(利益)を出せ」と急かすのではなく、社会的なインパクトを生み出すために「長期的な視点でじっくりと伴走する投資」のことです。

有名な事例として、世界的な非営利ファンドである「アキュメン(Acumen)」があります。彼らは途上国の貧困問題を解決する起業家に投資を行いますが、3〜5年での回収を求める通常の投資ファンドとは違い、10年〜15年という長いスパンで資金と知恵を提供し、じっくりと事業を育てます。

実は、遠い世界の話だけではありません。

東海地方で19年にわたり「東海若手起業塾」を支援し続けているブラザー工業さんも、まさにこの「ペイシェント・キャピタル」の素晴らしい体現者です。19年という歳月をかけ、資金だけでなく社員の皆さんがプロボノ(職能ボランティア)として起業家に伴走し、地域に起業家精神を育むエコシステムを作り上げています。

目先の利益ではなく、「地域の未来」への長期的な投資です。本当にありがたく、また、こういう会社がもっと増えてほしいと心から思います。

短距離走から、「長距離借り物共創」へ

では、私たちのような地域のコミュニティはどうあるべきか。 私はこれを「短距離走から、長距離借り物共創へのシフト」と呼びたいと思います。

お金中心の資本主義は、言ってみれば「短距離走」です。隣のレーンの誰かより1秒でも早くゴールテープを切って、利益を独占するレース。そこには孤独とプレッシャーしかありません。

でも、私たちが取り組みたい地域づくりや社会課題の解決は、そもそも一人で走り切れるような距離ではありません。果てしなく続く長距離走です。 だからこそ、運動会の「借り物競走」のように走ればいいのではないかと思うのです。

「誰か、デザインができる人はいませんか!」 「このアイデアを形にするための場所を貸してくれませんか!」 「少しだけ、資金を応援してくれませんか!」

そうやって、地域の中で声を上げ、スキルや場所、お金、そして温かい励ましを「借り」ながら進んでいく。貸してくれた人も一緒に巻き込んで、みんなでワイワイと走りながらゴールを目指す。 それはもはや競争ではなく、共に創る「借り物共創」です。

サカエマチHOLICは、西条というこの街で、そんな「長距離借り物共創」が生まれる場所でありたいと思っています。 短期的な評価で人を急かすのではなく、じっくりと相手を信じて待つ「優しさ」のあるコミュニティ。

皆さんも、サカホリで何かを「借りて」、そして誰かに何かを「貸して」みませんか? みんなで一緒に走る長距離走は、きっと想像以上に楽しいはずです。